神の使者との一問一答#3 「神の嘘」

2019.08.06
第五巻 富士和教会

 お告げはおりたが、神様は嘘ばかりついた。近所の火事が燃え移るから、いつでも、逃げ出せるようにしておけと、13年間、言われ続けた。一人息子の和男さん夫婦と孫が、ご使者が聞くお告げにしたがって動いた。結局、火事はなかった。後年、ご使者が「神様が言うことは、ぜーんぶ嘘」と、笑いながら話されたことがある。

 

   それから、嘘をつくって、嘘をつくってね・・・

 私の家にね、火事があるってね、今になって見りゃ、火事なんていうのは、揉め事を起こしたりね、何かしていれば火事があるけども、普通は火事はないはずだっていうのが、分かるけどね。

 ただ揉めるんじゃないわよ、普通じゃないわね。隣が焼けてもね、この神様に縋っているとね、隣がこれっきりしかすいていなくて、焼けたってね、こっちまで、庇が焦げるか黒くなる程度でね、焼けやしないのよ。神様に一所懸命に頼むと、風が向こうに変わるの。こっちに来そうな風が、火が、ね。今はそうなのよね。

 

 そのころは知らなかったからさ、揉めてばかりいるから神様が脅かしたのだと思うのね。それで、『火事がありますよ』って言うからね、ああ、大変だ、ああ、大変だと思ってね。『火事があるから、荷物を他所へ運んでおけ』って言うんですよ。それで、『勿論、あなたの家から火事はでませんよ』っておっしゃったのね。でも、『隣から焼けて来るんだ』って言ったわね。「隣っていうと、どっちの隣でしょうか。こっちの隣でしょうか、あっちの隣でしょうか」ってね。「喧嘩してない方でしょうか」って。でも、仕舞にはお父さん、喧嘩始めたけどさ。

 

 他所の人も、欲の深いものだとつくづく思いますよ。どうしてあんなに欲が深いんだろうってね。せり込むことばかり考えているのよ。それで、「庇が出っ張っているから、引っ込めてくれ」と言うとね、「いいじゃないか、いいじゃないか」ってね。そうすると、また、うちのおやじさんがさ、強情張ってね、「何でもかんでも、引っ込めろ」ってね。そうしちゃ、喧嘩するのよね。

 

 だから、『火事がありますよ』って言うのは、『揉めてばかりいると火事がありますよ』って言うことを、神様が教えようとしたんでしょうけれど、そんなことは私はわかりゃしないから、だから、どっちから焼けてくる、こっちから焼けて来るって言うから、毎晩、毎晩、下駄をね、裏に私の大事な荷物だけ、もって逃げるように包んでおいて、それから、下駄を台所の出口において。ちょうどそのころは、恵子が赤ん坊の時分だわね。焼けて来たら、火を被ってしまう、どうやって逃げたらいいかなってそんな苦労してね。毎日、毎日、その苦労ばっかりだったのね。

 

 そして、仕舞には「面倒臭いから、さっさと焼けちゃってくれれば良い」と思ったわね、本当に。辛くて、辛くて、仕様がなくて。『火災保険入れろ』っていうのですよ。それで、『黙って入れないで、神様、こう言ったって言って、入れろ』って言うの。神様の話しをさせようと思ってね。保険屋にさ。7月13日に焼けるというの。13日の1時って言うのよ。それで、夜中の14日の午前1時だと思ったからね、それで、夜も眠れないで、包んで、『今に焼けて来るから支度しとけ』って言うから、着物着てね、早いとこ逃げられるようにと思ってね。

2時間くらいたって、眠くて眠くてしょうがないから、座って居眠りしていたら、『今日は焼けてこないから、今夜はもうこれで寝なさいね』って言うのよ。それで、帯締めて、着物着て起きていたけれど、帯ほどいて寝間着着て、寝てさ。まったく、毎日、毎日、それをやられて、まいっちゃって、「もういいかげん、焼けちゃった方がいいや」、『保険かけときなさい』って言われたから、保険かけてあったからね、「もう、いいかげん焼けちゃった方がいいや」ってね。

 『荷物は逗子(一人息子和男さんの奥様のお姉さまの嫁ぎ先)に運べ』とかね。

運ばせ運ばせ、嘘をつきながらね、私がどのくらい苦労するか、周囲の人がどう思うか、みんな試しているんですよ。


 だからさ、年柄年中ね、さんざ振り回されてさ、「もう何でも良いから焼けちゃってくれりゃ良い」、焼けちゃったら乞食になっちゃうと思ったけど、めんどくさいからね。13年間やられたのよ、何にも買えやしないわよ、ここ(由比ガ浜)に来るまでやられたのよ。3年間やられたのよ。ここに来るまで、15年間やられたかな。ここにくるまで。13年の時には、まだ、火事はないっていう、決定的な事は出て来なかったからね。それで、13年間やられて、神さん、『教会作れ』って言われてさ。

ページトップへ戻る