No.36 酷暑 

2017.08.22
第一巻 湖水地方レポート

牧場開設以来3年間、牧場を切り盛りしてくれたO君が5月末にふるさとへ帰り、6月末には水牛チーズ職人が技術移転を終え、新規就農をめざして独立した。湖水地方牧場が、はじめて、私の掌中におさまった。

考えてきたことを整理しながら、仕事の全工程を見直し、牧場全体をコンパクトに経営できるよう、再構築に着手した7月だった。無駄な物事を捨てて、目指す方向にむけて進化させる、つまり、選択と集中だが、なにしろ前代未聞の酷暑である。トラクタの運転席でメモを取っていると、草地で草を食むブラウンスイスの胴体に、長さ30mmはあるアブがびっしりと血を吸っているのが見える。海風すら吹かない、暑苦しい7月だった。 水牛のミルクに異変が生じて、乳酸発酵がままならなくなり、続いて、ブラウンスイスも7月末から同じ症状を呈した。

8月に入ってハナコ/875が脚をいため、草地でトラクタにしばりつけて、獣医さんが爪の間のデキモノを取り除いた。湖水地方の8月は、秋の始まりである。ようやく、海から心地よい風が吹いた。  2017.8.1

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