乾草ロール

2017.09.11
第一巻 湖水地方レポート

放牧地で草を食べさせる春から夏、そして秋にかけての季節にも、乾草は飽食できるように、草架においておく。乾草、つまり粗飼料は、牛にとって必須の食料だ。

舎飼いと称して、牛舎の飼養管理方法は、コンクリート土間にたまった糞尿を、機械で外に出すのだが、ホルスタインの場合は、糞尿は液状なので押し出すことになる。液状の糞尿をスラリーと呼ぶ。

堆肥にするためには、スラリーを固液分離の機械に通して、固体だけ堆肥場に積みあげ、天地返ししながら堆肥化する。しかし、その堆肥化に2年かかるという。2年分の堆肥を積み上げて維持する大きな堆肥場を持っている人は少ないため、たいていは、生の液状のまま牧草畑に撒いてしまう。となれば、大気汚染、土壌汚染、地下水汚染は避けられず、牧草は硝酸態窒素を大量に含んだ状態となる。硝酸態窒素は発癌性物質だ。ミルクには出ないが、牛の健康には良いはずがない。

 湖水地方牧場の場合は、将来的には自前の牧草畑を持ちたいが、今は、乾草を購入している。幸い、この購入先の農場では酪農をしていないので、10年近く、化成肥料もスラリーも散布していない。私たちが「一番草の刈り遅れ」と呼ぶ、牛が一番好きな草だ。 

 

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