水牛87分娩

2017.10.16
第一巻 湖水地方レポート

水牛の季節にさしかかり、68に続いてハナ/87が、10月15日に分娩した。

午後の早い時間帯に、パドックの乾乳水牛群がざわざわと騒がしい。隣の育成パドックにいる種牛のサンシチも、声を上げている。興奮して走り回る水牛もいる。何か起きたなと思うが、作業を投げ出していけない。家内の温紀が夕方、餌やりに行ったところ、「二頭目だよ」と叫んだ。

サンシチが吠えたのは、「次はオレの仕事だ」ということだろう。育成の若いメスの群に入れたらすっかり馴染んで落ち着いていたので、そうかお前も若い娘がいいか・・・と納得していたのだが、やはり、種付けとなると燃えるんだな・・・ 87分娩.jpg

 予定日は1029日だったので、やはり2週間ほど早い。水牛の妊娠期間を310日と計算してきたが、295日と変更すべきだろうか・・・

牛の妊娠期間は280日と計算する。ブラウンスイスも牛、ウシ科ウシ属という意味だ。

イタリア水牛は、ウシ科アジアスイギュウ属。属が違うと、まったく違う動物である。しばしば、「和牛の受精卵をホルの胎につけるようにして、水牛を増やせ。そうすれば頭数を早く増やせるぞ」と助言してくれる人がいるが、属が違うから交配できない。ウシ属の胎には、アジアスイギュウ属の卵は活着しない。

 

4年前にブラウンスイス5頭が、ニセコの高橋牧場から到着して、翌年の新年には箱根牧場から6頭の水牛がやってきた。6頭のうちの1頭はオスだ。メスは合計10頭。一緒に飼ったが、分娩して頭数が増えるうちに、「これは、分けなければダメだな」と分かった。念のために、国際水牛連盟の事務局長を務めるAntonio Borghese教授に問いただしたところ、Absolutely not! 絶対にダメだ、という返事だ。要するに、群行動が全然違う。持っている資質が違う。

群をひとつにした際には、角突き合って、ブラウンスイスの勝ちだった。しかし、水牛は移動するに際して、群が一斉に走り出すが、ブラウンスイスはのったりくったり、文字通り道草食いだ。上の段の放牧地から搾乳所に誘導するのにも、水牛はあっという間に下りてくるが、ブラウンスイスは人が追ってもだらだらしている。水牛は待ちくたびれて、ブラウンスイス群を迎えに来たりする。

様々な習性が違うから、それぞれが落ち着かないこともわかってきた。それで2系統に分けた。ブラウンスイスの仔牛と一緒に育った水牛の育成が、水牛群に入りたがらないか、あるいは、入れてもらえない個体があったが、それも、今年の初夏、外に出して、水牛とブラウンスイスは、きれいに2系統に分化した。付き合いは格段に楽になった。10.16

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